松阪証券 社長日記
企業人として、三重県で生業を営む者として、日々の発見、気づきなどを気まぐれに書きとめて行きます。
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「サブプライムローン問題」の核心
米国を火種としたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題が世界の金融マーケットに飛び火しています。日米欧の中央銀行が緊急資金供給などの対応に追われるなど、米国を震源に欧州発で急速に世界に広がったのは、金融のグローバル化やデリバティブ(金融派生商品)の発達により、複雑化した仕組み商品が世界各国の投資家に分散していたからでしょう。この問題の影響を受けた金融機関などは増加の一途をたどっており、依然として鎮火の兆しは見られません。

そもそもこの問題の核心を探るには、米国経済そのものの構造(的な問題?)を無視するわけには行きません。米国は、個人消費がGDPの70%を占める、正に消費大国です。米国経済の浮沈は、個人消費がそのカギを握っているといっても過言ではないでしょう。ですから、米FRB(中央銀行)は、個人消費の動向に最も注目し、金融の舵取りを行なうわけです。個人消費を活発化させるために、米FRBが目指すのが「資産価格の緩やかで着実な上昇」です。急激な上昇はその反動が心配であり回避したいはずですが、株価や住宅価格を緩やかに、着実に上昇させるべく、金融調節を行なっているようなものなのです。

そんな構造の米国において、低所得者向けに急速に広まったのがこの「サブプライムローン」です。サブプライムローンに限らず、アメリカでは住宅ローンの返済方法として、当初数年間の金利を抑えたり、当初数年間は金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担を軽減したものが普及しています。債務者が、自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能だと言うことです。しかしながら、返済の破綻はこれまでは必ずしも表面化していませんでした。住宅価格の上昇により債務者の担保余力が拡大することから、その部分を担保に新たな追加借入を受けることができた(ホームエクイティローン)のです。これは破綻を先延ばしするだけでなく、消費を拡大する効果あったはずです。また、住宅価格が大きく上昇していれば、その住宅を転売してローンを返済し、さらに売買差益も得ることも可能だったでしょう。当初負担の軽い返済方式の普及によって、所得水準からすれば本来住宅ローンを組めない人にまでローンを組む個人が増加し、むしろ住宅ブームを加速させていたわけです。

しかし、住宅価格上昇率が2006年に入って以降急速に鈍化すると、その結末は火を見るより明らかです。予測されたことですが、サブプライムローンの延滞率が目だって上昇を始め、今回の問題が一気に広がりました。米国において、サブプライムローンは住宅ローン全体の約13%を占め、2006年末現在で3か月以上の延滞率が13%を超えているそうです。現在ではさらに上昇していることでしょう。

さて核心に。今回のサブプライムローン問題でクローズアップされているのは、今のところ資金提供者側、つまり投資家サイドの問題です。しかしながら、最も危惧されるのは米国個人消費への影響ではないでしょうか。サブプライムローンの問題はその象徴的な事象であり、一部分に過ぎないかもしれないのです。この問題が引き金となり、もっと広範囲の信用の収縮(いわゆる貸し剥がし)に繋がるようなことになれば、米国経済は想像以上のダメージを受けることになります。個人消費を活発化させるために「資産価格の緩やかで着実な上昇」を目指す米FRB(中央銀行)にとって、最も回避したかったこと、恐れていたことが始まっているのかもしれません。

米国経済は、今まさに砂上の楼閣です。株式市場の動きもそうですが、日本経済にとっても他人事ではありません。急速なドル安(=円高)が進む可能性もあります。私の稚拙な連想(予想ではありません)が、的外れになることを祈ります。

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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント

米国のサププライム問題は次の大きな問題に発展しつつあります。それはクレジット・デリバティブ市場が抱えるリスクです。クレジット・デリバティブ市場は5年前は約1兆ドルの規模(想定元本)であったが、今や34兆ドルにまで膨れ上がってます。これは米国のGDPの3倍以上の大きさです。プレーヤーは機関投資家、ヘッジファンド、インベストメントバンカー等いわばプロのプレーヤーです。取引は全て相対で行われます。それ故時価が不透明であり、プレーヤー達は恐ろしくて適切に時価評価できない、或いは売るに売れないのが現状です。このいわば爆弾が爆発すれば(大体こういうときは30%程度下落するのが過去の例です。)クレジット・デリバティブの市場全体の損失額は10兆ドル規模になり、NYダウは10,000ドルに迫る下落もありえないとはいえないのではないでしょうか。
【2007/08/15 14:46】 URL | 平成次郎 #- [ 編集]


平成 次郎 様

コメントありがとうございます。
ご指摘の通りであれば、非常に恐ろしいことです。
特に、ドル安(円高)を伴うものであれば、せっかく本格的に動き始めた「貯蓄から投資」への流れが逆流してしまう可能性もあります。
弊社にとっても、非常に重大な問題です。

これからも、的確なご指摘、期待しています。
【2007/08/15 15:03】 URL | 松江 茂 #- [ 編集]


米国は、私が大学でマクロ経済学を習うはるか前から双子の赤字でした。今まで、様々な方策で破綻を免れてきましたし、これからも米国の破綻はないのかもしれませんが、少しはヨーロッパのストック型社会を見習う時期が来ているような気も致します。
それは、米国に限らず、ス地球全体の消費を見直すことにもつながるような気もします。
【2007/08/16 20:22】 URL | 出口 茂 #- [ 編集]

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【2007/08/17 01:52】 | # [ 編集]


出口 茂 様

歴史は繰り返します。日本のバブル期もそうでしたが、米国では「住宅価格は永遠に上がりつづける」といった神話が出来上がっていたようです。だからこそ、貸す方も借りる方も、常軌を逸した行動に出てしまったのでしょう。当事者は、その神話が崩壊してしまってからそのことにようやく気付くのです。正に「バブル崩壊」です。日本でも、都市部オフィスビルの賃料や、マンション価格が史上最高値水準を更新しているようです。現在の水準でも採算が取れているからといえばその通りですが、そろそろ警戒が必要かもしれません。私達の地方は蚊帳の外ですが・・・。いずれにしても、金融市場の不安定な状況は暫く続きそうです。外需依存度が高い我が国も、その影響は免れませんね。
【2007/08/17 07:36】 URL | 松江 茂 #- [ 編集]


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プロフィール

証券人(しょうけんびと)

Author:証券人(しょうけんびと)
約13年間の大和証券勤務を経て、1998年1月松阪証券に入社
2006年4月代表取締役社長就任
現在に至る



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